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古代後期の愛と性男のわるあがき分散的な氏族制度が、七世紀半ばの大化改新によって統一的な古代天皇制国家へと変貌した。それまで大王と呼ばれていた大和国家の王は天皇と呼ばれることになって、国家の最高の政治的・祭祀的権力者となり、中央集権の官僚国家が形成された。それまでの各地の豪族が天皇政権の官職を独占する官僚貴族となったのだが、もちろん男どもであった。

この改新に当たって施行された「男女之法」(大化元年詔)は、日本最初の婚姻法として見のがせない。一般公民である「良民の男女間に生まれた子女はその父につけよ」(第一条)とある。今から見るとこの一見何気ない記述は、一般人民社会で行われていた、家族の系統が母方によって伝えられる母系的家族制度を、すでに支配階級では行われていた父系的家族制度に切り替えしようとするものであった。夫が妻の家に通う招婿婚が、中世に至って妻が夫の家に迎えられ、家事と育児に専念する婁嫁婚に切り替わる布石であった。

この「男女之法」は、早くから父系制をとって父権を尊重していた中国封建社会の制に倣ったものであった。男尊女卑の意識があったとは思えないが、家庭や社会や国家における権力を、男の手中に収めようとするたくらみであったことは、同じく中国の「三従七去」の道徳律を採用(養老戸令)していることでわかる。三従は女たるもの「未だ嫁せざるは父に従い、嫁しては夫に従い、夫の死後は子に従う」という服従のモラルである。七去は夫が一方的に妻を離別すきさいる七つの条件で、制令ではこれを「棄妻」と言っている。

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そういう正式の妻を二人持つこともあったが、その後は身分や能力に応じて、複数の通い妻を持つことができた。嫡妻以外の妻との結婚は、もっぱら恋歌の贈答により、当人同士がOKとなれば彼女の家族が公認して、男が通うことになる。思ひかね妹がりゆけば冬の夜の川風寒み千鳥なくなり紀貫之寒さこらえて通います、という演歌調も新婚当初だけ。

鼻について通わなくなる「夜離」という頃になると、女の方がしばらく行方をくらまして一件落着となり、それぞれ再出発という、一見きわめて放縦な男女関係であった。前代に引き続いて、これという道徳的・法的な性愛についての規制がなかったのに、人間らしい行動や秩序が美しく保たれているのは、直情径行の前代とちがって、「みやび」という階級的な美意識が醸成されていたからである。

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